こんにちは、タテマツです。
今月、私にとって大きな事件が起こりました。
2021年から約4年間、出張先でもオフィスでも頼れる相棒として活躍してくれたiPad Pro (M1モデル)が、ついに動かなくなってしまったのです。

主な原因はバッテリーの寿命だと思われますが、キーボードも反応せず、どうやら複数の箇所にガタが来ていたようです。
修理を試み、最終的には売却したのですが、その際に画面の磁気不良まで発覚しました。
まさに満身創痍。
本当によく頑張ってくれました。

薄暗い部屋の机の上で、画面が消えたまま置かれている古いiPad Pro
4年間、苦楽を共にした相棒との突然の別れでした。

さて、悲しみに暮れてばかりもいられません。
次の相棒を探さなければならないのですが、ここで大きな問題に直面しました。
私がこのiPad Proを購入した2021年と、生成AIがビジネスのあらゆる場面に浸透した2025年現在とでは、デバイスに求められる役割が劇的に変化しているのです。

単に「CPUが速い」「画面が綺麗」「軽い」といった従来のモノサシだけでは、これからのAI時代を乗り切るための「ベストバイ」は見つけられないのではないか?そんな危機感にも似た問いが、私の頭をよぎりました。

今回の記事では、私の個人的なデバイス買い替えの悩みを通して、多くの中小企業経営者やビジネスパーソンの皆様にとっても無関係ではない、「AI時代のデバイス選びの最適解」について、様々な観点から徹底的に考察していきたいと思います。

この記事でわかること

  • なぜ今、デバイス選びの基準が変わったのか?
  • AI時代に必須の「NPU」とは何か?
  • 最新iPad vs Surface vs MacBook、AI活用の観点での徹底比較
  • あなたの仕事に最適な次世代デバイスを見つけるヒント

2025年、デバイス選びの「新常識」 AI処理能力(TOPS)という新たなモノサシ

まず、なぜ今デバイス選びがこれほどまでに重要なのか、その背景からお話しなければなりません。
これまでAIと言えば、ChatGPTのようにインターネットの向こう側にある巨大なサーバー(クラウド)で処理されるのが当たり前でした。
しかし、最新の技術トレンドは「オンデバイスAI」へと大きく舵を切っています。

オンデバイスAIとは、その名の通り、クラウドに頼らず手元のデバイス(PCやスマートフォン)の中だけでAI処理を完結させる技術です。
これにより、以下のような劇的なメリットが生まれます。

  • 圧倒的なスピード: ネット通信の遅延がなく、AIが瞬時に応答します。
  • 強固なセキュリティ: 機密情報を外部に送信する必要がなく、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
  • オフラインでの利用: インターネット接続がない環境でも、高度なAI機能を利用できます。

そして、このオンデバイスAIの性能を左右するのが「NPU(Neural Processing Unit)」と呼ばれる、AI処理に特化した半導体チップです。

マザーボードに埋め込まれたNPUチップが青白く光っている未来的なイメージ
これからのデバイスの心臓部は、CPUやGPUに加え、このNPUが担います。

これまでPCの性能はCPU(計算処理)やGPU(画像処理)の性能で語られてきましたが、これからはNPUがどれだけ高速にAI処理を行えるかを示す「TOPS(Tera Operations Per Second)」という値が、デバイス選びの極めて重要な指標となるのです。

つまり、2025年のデバイス選びとは、AIという新たな頭脳を、いかに快適に、そして安全に「手足」として使いこなせるか、そのための「神経系(NPU)」の性能を見極める作業に他ならないのです。

【徹底比較】次期メインデバイス候補!AI時代の4つの選択肢

この新たなモノサシを手に、私の次期相棒候補を見ていきましょう。
今回は、私のワークスタイル(コンサルティング、コンテンツ制作、出張での利用)を考慮し、4つの選択肢に絞って比較検討します。
経営者の皆様も、ご自身の仕事内容に置き換えて考えてみてください。

候補1: 最新iPad Pro (M4以降) - 王者の進化か、停滞か?

まずは、これまで使ってきたiPad Proの後継機です。
M4チップを搭載した現行モデルは、その薄さ、有機ELディスプレイの美しさ、そしてApple Pencil Proの操作性において、他の追随を許さない完成度を誇ります。

  • メリット:
    • 圧倒的に美しく、高精度なディスプレイとApple Pencil Proの体験。
    • Mシリーズチップによる高い基本性能と、洗練されたiPadOS。
    • 今後さらに進化するであろう「Apple Intelligence」とのシームレスな連携。
  • デメリット:
    • 依然としてPCライクとは言えないファイル管理の煩雑さ。
    • Magic Keyboardなどのアクセサリが高価で、トータルコストが嵩む。
    • Appleのクローズドな環境であり、Windowsでしか動かない専門ソフトが使えない。

総評: クリエイティブな作業や、質の高いインプット・アウトプット体験を求めるなら最高の選択肢。
しかし、中小企業のDX支援という観点では、顧客が利用する多様なWindows環境との連携に一抹の不安が残ります。

候補2: Microsoft Surface Pro シリーズ - Copilot+ PCの本命

次に、Microsoftが「Copilot+ PC」として大々的に打ち出しているSurface Proです。
強力なNPUを標準搭載し、まさに「AIと共に働く」ことを前提に設計されています。

  • メリット:
    • 45TOPSを超える強力なNPUを搭載し、オンデバイスAIの性能を最大限に引き出せる。
    • 完全なWindows OSが動作するため、PCとしての拡張性や互換性に死角がない。
    • Recall(記憶)機能など、Copilot+ PCならではの革新的なAI機能を先行して体験できる。
  • デメリット:
    • ARM版Windows上で動作するため、一部の古いソフトウェアや特殊なドライバで互換性の問題が出る可能性がゼロではない。
      (ただし、エミュレーション技術の進化でほぼ解消されつつあります)
    • タブレットとしてのアプリのエコシステムはiPadに及ばない。

総評: PCの自由度とタブレットの手軽さを両立し、最先端のAI機能をフル活用したいビジネスパーソンにとって、現時点で最も有力な候補と言えるかもしれません。

候補3: MacBook Air (M4以降) - 最強クラムシェルのAI最適解

タブレット形態にこだわらないのであれば、MacBook Airも外せません。
Apple Siliconの電力効率は驚異的で、ファンレスながら高いパフォーマンスを長時間維持できます。

  • メリット:
    • 圧倒的なバッテリー持続時間。
      外出先でも電源を気にせず作業に集中できる。
    • 完成されたキーボードとトラックパッドによる快適な操作性。
    • iPhoneやiPadとの連携(Handoff, Sidecarなど)が非常にスムーズ。
  • デメリット:
    • 当然ながら、ペン入力やタッチ操作はできない。
    • iPadのような、とっさのメモや閲覧に特化した手軽さはない。

総評: 長文作成やプログラミング、データ分析など、腰を据えた作業がメインの方にとっては最高の生産性ツール。
Apple Intelligenceの登場により、AI PCとしての価値も飛躍的に高まってくるでしょう。

候補4: Samsung Galaxy Bookシリーズなど - Windows on ARMの対抗馬

Copilot+ PCはMicrosoftだけの専売特許ではありません。
SamsungやLenovo、DELLといった各社からも、魅力的なARM版Windowsマシンが登場しています。
特にSamsungのGalaxy Bookは、美しい有機ELディスプレイとS-Penによる書き心地に定評があります。

  • メリット:
    • スマートフォンで培った有機ELディスプレイ技術による、息をのむような映像美。
    • S-Pen対応モデルであれば、Surface同様に手書きメモやスケッチが可能。
    • 各メーカー独自の工夫が凝らされており、多様な選択肢から選べる。
  • デメリット:
    • Surfaceに比べ、国内でのサポート体制やブランドイメージで一歩譲る場合がある。
    • ソフトウェアとハードウェアの一体感という点では、AppleやMicrosoftに軍配が上がることも。

総評: Surface以外の選択肢も検討したい、特にディスプレイ品質にこだわりたいという方にとっては非常に魅力的です。
Copilot+ PC市場の活性化を担う重要なプレイヤーたちと言えるでしょう。

立松直文の最終結論。
私が選ぶ「AI時代の羅針盤」

さて、ここまで各候補を比較検討してきましたが、最終的に私がどのデバイスを選ぶのか。
私の仕事の本質は、「お客様のビジネス課題に対し、最適なデジタル技術を用いて変革を支援すること」です。
変革は創造から、という理念を掲げる私自身が、最も変革の可能性を秘めたツールを選ぶべきだと考えています。

その観点で出した結論は… Microsoft Surface Pro です。

決め手は、やはり「PCとしての完全な互換性」と「最先端のオンデバイスAI機能」の両立です。
お客様先でどんな環境に直面しても柔軟に対応できるWindowsの安心感と、場所を選ばずに高速・安全なAIアシスタントを活用できるCopilot+ PCの革新性。
この組み合わせこそが、これからの私の仕事を最もパワフルに支えてくれる「羅針盤」になると確信しました。

もちろん、これはあくまで私のワークスタイルにおける現時点での最適解です。
クリエイターの方ならiPad Proが、Appleエコシステムを重視する方ならMacBook Airが最高の相棒になるでしょう。
重要なのは、ご自身の仕事をAIがどう変える可能性があるかを想像し、それを最大限にサポートしてくれるデバイスは何か?という視点で選ぶことではないでしょうか。

まとめ – あなたの会社の「未来」を載せるデバイスを選ぼう

たった一台のデバイスの故障から始まった今回の考察ですが、結果としてAIがもたらす働き方の変革、そして未来のビジネスのあり方を深く考える貴重な機会となりました。

デバイスはもはや、単なる作業道具ではありません。
それは、AIという強力なパートナーと共に未来を創造していくための「コックピット」であり、ビジネスの可能性を拡張するための「翼」です。
古い地図のまま航海を続けるのではなく、AIという新たな羅針盤を手に、未来の海へ漕ぎ出す準備を始めませんか?

今回の立松からのファーストミッション

新しいデバイスを検討する前に、まずは現状把握から始めましょう。
今お使いのPCやスマートフォンで、最も時間がかかっている、あるいは「面倒だ」と感じる定型作業を3つ、紙に書き出してみてください。

(例:議事録の要約、メールの返信文作成、データからのグラフ作成など)
その作業こそ、次に手にするデバイスとAIが、真っ先に解決してくれる課題かもしれません。
このリストが、あなたの「AI時代のデバイス選び」の出発点になります。

自社に最適なデバイス選びや、AIを活用した業務効率化について、何から手をつければ良いか分からない、具体的な相談がしたいという方は、ぜひお気軽にお声がけください。
あなたの会社の未来を載せる、最高のコックピット選びを全力でサポートします。