「AIって、結局うちみたいな小さい店には関係ないんでしょう?」

渥美商工会の会場で、そんな声を今回も聞きました。
田原の経営者の皆さんと2日間、たはら商人道場IIIでご一緒してきたんですが、この空気感、実は何度この場に立っても変わりません。

ただ、今回はいつもと少し違う手応えがありました。
すでに自社の業務でAIの活用を進めている参加者が、思った以上に多かったのです。
前回・前々回とはっきり空気が変わっていました。

正直に言います。
この道場も今回で10回目です。
渥美商工会さんとは10年以上ご一緒させてもらっていますが、毎回思うのは「田原の経営者さんは、泥臭い現場を知っている分、変な理屈には騙されない」ということです。
だからこそ、耳障りのいい話ではなく、明日から手が動く話をする必要がある。

なぜ今、この道場が必要なのか

今回、力を入れたのは「自社ならではの情報を使って、クリエイティブワークの中身をAIでアウトプットする」というテーマです。
汎用的な使い方をなぞるだけの講座は、正直もう田原の経営者には響きません。
自社の商品情報、自社の顧客の声、自社の現場の言葉。
それをAIに渡してこそ、初めて「うちの会社だけの武器」になります。

AIというと「魔法の杖」のように語る人がいますが、私はいつも「高性能な電動ノコギリ」だとお伝えしています。
使い方を知らなければただの重い箱ですが、正しく握れば、これまで何時間もかかっていた作業があっという間に終わります。
田原の経営者の皆さんに伝えたいのは、この道具を使いこなす主導権は、経営者自身が握らなければならないということです。
誰かに丸投げした瞬間、会社のハンドルを手放すことになります。

2日間で見えたこと

印象的だったのは、新しいテーマを出しても、臆せず前に進もうとする参加者が何人もいたことです。
「自社ならではの情報を使う」というのは、実はハードルが高い課題です。
汎用的な使い方より一段難しい。
それでも、手が止まる人より、まず自分の会社の情報を打ち込んでみる人のほうが多かった。

3回続けてこの道場に関わらせていただいて感じるのは、田原の経営者さんは最初こそ「うちには関係ない」と身構えるものの、一度「自分の手で動かせる」体験をすると、目の色が変わるということです。
今回はその変化のスピードが、これまでで一番早かったように思います。

経営者に持ち帰ってほしいこと

技術の話は、正直、道具にすぎません。
大事なのは、AIやITを「怖いもの」「難しいもの」として遠ざけるのではなく、経営判断のOSとして自分の手元に置いておく覚悟です。

正直に言うと、今回の2日間を終えて、私自身の中で来年に向けたテーマが決まりました。
次は「自律的なエージェント」の話をしたいと思っています。
人が都度指示を出さなくても、AIが目的に向かって自分で判断し、動いてくれる。
ここまで来ると、もう「道具」の話ではなく、完全に経営の話です。
誰にどこまで任せるのか、判断の軸をどう渡すのか。
田原の経営者の皆さんとなら、この一歩踏み込んだ話ができると、今回確信しました。

渥美商工会の皆さん、そして2日間ご参加いただいた経営者の皆さん、ありがとうございました。
次回の道場でも、また田原の「泥臭い」現場の話を聞かせてください。

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